足場について

「足場」の世界へ、ようこそ。

皆さんは、「足場」がどのようなものかご存知でしょうか?
「建設現場で見かける骨組みみたいなアレ」。そう、正解です。
もう少し具体的に言えば、「建設現場で作業する人たちのための仮設の床や通路」のこと。
「足場」は、それ以下の存在でも、それ以上の存在でもありません。
ただ、建物は国や地域、時代ごとに実にさまざまです。
さらに、皆さんが住む「家」、皆さんが通う「学校」や「会社」、
皆さんが遊びに行く「店」など、ひと言で「建物」と言っても、
それらはひとつひとつ異なります。そしてそれは、「足場」も同じ。
いわば地球上に存在する「建物」の数だけ、異なる「足場」が存在するのです。
たかが「足場」。されど「足場」――。そんな「足場」の魅力を紹介いたします。

足場ミュージアム

「足場」の起源とは?

そもそも「足場」は、いつから建設現場で使われるようになったのでしょう?
その起源は定かではないものの、例えば今から約4500年前の紀元前2500年頃に建設されたとされる、言わずと知れたエジプトの「ピラミッド」。
「宇宙人関与説」など、今も謎多き建物ですが、建設したのが宇宙人か?地球人か?はさておき、この「ピラミッド」の建設にも、足場が使用されたそうです。
また、今から約2300年前の紀元前300年に建設が始まり、約1900年もの歳月を経て完成した人類史上最大の建造物「万里の長城」にも、足場が使用されたといわれています。

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ご存知「ピラミッド」の建造にも、足場が使用されたとか。ちなみに写真はジョセル王のピラミッドの修復工事の様子(2014年)。建造から約4500年後の現在も、修復には足場が必要不可欠だ。

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「万里の長城」建造の様子(イメージ)が描かれたイラスト(左)にも、「足場」が登場。右の写真は、現在の万里の長城。

日本における「足場」の歴史

日本においては、「なんと見事な平城京」の語呂合わせで知られる平城京遷都(710年)と「鳴くよウグイス平安京」の語呂合わせで知られる平安京遷都(794年)の間の757年(天平宝字元年)に、“高いところに登る足がかり”という意味の「麻柱」(あななひ)という言葉が登場しており、これが現在の「足場」を指す最古の言葉として記録されています。
また、葛飾北斎や安藤(歌川)広重をはじめ、江戸時代後期の名だたる浮世絵師たちの作品の中にも、当時の「足場」の様子が・・・。
日本に「麻柱」という言葉が登場した757年から今に至るまで、約1300年。
足場の部材(材料)や足場の組み方は、時代に合わせて変化を遂げてきました。
でも、昔も今も変わらないのは、「建物を建設するうえで足場が必要不可欠である」ということ。そして、「部材や組み方が変われど、足場を組み立てるのは“人”である」ということ。
「足場」は、そういう意味では、“国境や歴史を超えて受け継がれる由緒正しき職人技”といえるでしょう。

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日本人なら誰しもが一度はその名を聞いたことがあるであろう江戸後期の浮世絵師・葛飾北斎の『富嶽百景.3編 足代の不二(画像右)』(国立国会図書館蔵)。
足場の上で作業をする職人の躍動感あふれる姿が描かれている。

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葛飾北斎と並びその名が知られた歌川広重の『東海道五拾三次 吉田・豊川橋』(国立国会図書館蔵)。
改装中の吉田城に組まれた足場の上で小手をかざす職人の姿が描かれている。

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香蝶楼国貞の『大工上棟之図』(国立国会図書館蔵)。「上棟式」とは、日本で建物の新築の際に行われる祭祀のことで、「建前」とも言う。
餅まき、と言えばピンとくる人も多いのでは。

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曜斎国輝の『衣喰住之内家職幼絵解ノ図』のなかの3枚(いずれも国立国会図書館蔵)。これは、明治初年に文部省が入学前の児童の家庭教育用に発行したもので、家を建てる際の工事の様子を20の段階に分けて説明している。

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豊国の『士農工商之内』(国立国会図書館蔵)には、足場の上で作業をする大工さんの姿が描かれている。いつの時代も、大工さんは建設現場のいわば“花形”。絵になります。

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1580年から翌1581年にかけて羽柴(豊臣)秀吉の命により行われた姫路城の大改修の様子を描いた兵庫県立歴史博物館「真柴久吉公播州姫路城郭築之図」(歌川貞秀)。ちなみに、題名の中の「真柴久吉」は、羽柴秀吉をもじったもの。この絵が描かれたのは江戸時代、つまり徳川の時代で、豊臣秀吉の名前はあからさまには書けなかった。

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姫路城の「平成の大修理」(2009年〜2015年竣工予定)の足場。浮世絵に登場している足場とは似ても似つかないほど部材や組み方が進化しているが、見た目が違えど足場は足場。時代が変わっても、その「役割」は変わらない。

世界の「足場」事情

建物を建設するうえで足場が必要不可欠――。これは万国共通ですが、国や地域ごとに建物の部材や構造が異なるように、「足場」もまた、国や地域ごとに部材や構造が異なります。
例えば、日本で「足場」というと「鋼製」のものを思い浮かべる方が多いと思いますが、近隣の東南アジア諸国のなかには、「竹製」の「足場」が一般的な国々も存在します。
さらに、世界各地には、「足場職人」が見ても思わずはっとするような、複雑かつ緻密な「足場」も・・・。
このように、ひと言で「足場」と言っても、その部材や組み方は国や地域、時代ごとに千差万別なのです。

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香港の建設現場に組まれた竹製の足場。見るからに滑りやすそうで、思わず「危ないっ!」と声が出てしまいそうだが、彼らにとってはこれが“当たり前”。

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スリランカの世界遺産「アバヤギリ大塔」の修理の様子。紀元前1世紀に建てられたスリランカ大乗仏教の総本山だが、この写真だけ見たら「近未来的なアート作品?」と思ってしまうほど、複雑怪奇・奇想天外な足場だ。

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もはや説明不要、スペインはバルセロナの「サグラダ・ファミリア」(2026年完成予定)の外観(右)とその足場(左)。さすが巨匠・ガウディ。さすが世界遺産。建物は言わずもがなだが、その足場まで美しい。まるで毛細血管だ。

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SF映画のワンシーンのようだが、右は実際のモナコの建設現場に組まれた足場の写真(写真:アフロ)。
ここまで来ると、もはやどこからどこまでが建物で、どこからどこまでが足場なのか、目を凝らさないと分からない。

“宿命”という共通点

一方で、国や時代を問わず、どんな「足場」にも共通していることがあります。
それは、「どんな足場も、役目を終えれば解体される」ということ。
絵画を描くための緻密な下書きのように、胎児の体に巡らされる毛細血管のように、「足場」もまた、建物の“誕生”とともに消え去る宿命にあります。
どんなに労力がかかっていても、どんなに洗練されていても、「足場」はあくまで「建設現場で作業する人たちのための仮設」。それ以下でも、それ以上でもありません。
そしてそれは、私たち「足場屋」が誰よりもよく分かっています。
自分たちの作った「モノ(足場)」が、消えてなくなることも――。
自分たちの作った「モノ(足場)」が、誰の記憶にも残らないことも――。
それは百も承知のうえで、大工さんに最大限力を発揮してもらうために、近隣にお住まいの方々へのご迷惑を最小限にするために、どこまでも「機能美」を追究し続ける。
「足場」を組み上げることに、誇りと情熱を持ち続ける。
それが、私たち「足場屋」の美学であり、生き様です。
たかが「足場」。されど「足場」――。ほんの少しでも、皆さんにそう思っていただけたら幸いです。

セオテクノが誇る「足場職人」たち。「機能美」を追究し、日々、人知れず「足場」に心血を注ぐ。それが足場職人の美学であり、誇りでもある。

足場が支えるもの

良い「足場」と悪い「足場」

建物の完成とともに解体される「足場」。

ゆえに、「足場」の見た目がキレイであろうと不格好であろうと、組み方が緻密であろうと粗略であろうと、完成した建物の見た目や機能に影響を及ぼすことはありません。

では、「足場」の善し悪しは何が決めるのか?

答えはひとつ。「足場の上で作業する人たちにとって安全かつ快適であるか否か」です。

どんなに見た目がキレイでも、組み方が緻密でも、その「足場」の上で、作業する人たちがケガを負ってしまったり、作業が「やりづらい」と感じれば、それは「悪い足場」です。

「足場」は「建物」を建設するためのもの。でも、その建物を建設するのは、あくまで足場の上で作業をする「人」。

私たち「足場屋」は「足場」を組み上げることで、その上で作業をする方々に対して「安全」と「快適」を提供しているのです。

美しさを競うわけでも、速さを競うわけでもない。「安全」と「快適」を提供する。それがすべて。

“裏方に徹する”という美学

建物の建設が始まる前に人知れず「足場」を組み上げ、建物が完成したら速やかに「足場」を解体する。そんな「足場屋」の仕事は、歌舞伎の「黒衣」(くろご)の役割によく似ています。

「黒衣」とは、顔を隠し、全身黒い衣装を身に付けて歌舞伎の舞台上に登場する人たちのこと。小道具を渡したり片付けたり、衣装の着替えを手伝ったりとその仕事は多岐にわたりますが、舞台で目立ってしまっては演技の妨げになるため、音を立てずにすばやく出てきて俳優の後ろや舞台装置などの陰に隠れ、なるべく見えないようにして仕事をします。

俳優との息が合わないと舞台に支障をきたし、俳優の顔を潰してしまったり、観客に不快感を与えてしまうため、俳優の動きや台詞を理解したうえで演技をしやすいように動きます。

私たち「足場屋」も、お施主さんや近隣にお住まいの方々の生活圏内に騒音やホコリなどが及ばぬよう、できる限り音を立てず、できる限りすばやく仕事をします。また、“主役”である大工さんとの息が合わなければ大工さんにケガを負わせてしまったり、お施主さんや近隣住民に迷惑をかけてしまうため、大工さんが「足場」の上でどのように動く(作業をする)のかを予測したうえで、作業をしやすいように「足場」を組み上げます。

「黒衣」も「足場職人」も、喝采や脚光を浴びることはありません。むしろ、自分たちにスポットライトが当たらないことこそが、舞台や工事が無事に終わった、すなわち自分たちの仕事が成功した何よりの“証”なのです。

「黒衣」という言葉は、「表には名を出さない者」「裏方に徹する者」といった意味で使われることもあります。そんな“縁の下の力持ち”的や役割に魅力を感じられる方は、きっと「足場屋」という仕事にも「美徳」や「やりがい」を感じられるでしょう。

“怖さ”の先にあるもの

「あんなに高いところで作業をしていて怖くないの?」

「足場屋」という仕事上、よくそう聞かれることがありますが、私たちの仕事における最大の恐怖は「高さ」ではありません。もちろん、最初は誰しもが高所での作業に戸惑いを感じますが、その恐怖は経験の積み重ねによって払拭することができます。

ただ、どんなに経験を積んでも絶対に払拭できないこと。それは「人の命を支える」という恐怖です。

「足場屋」は人の「命」に直結する仕事です。仮に、先ほど紹介した「黒衣」が舞台で重大な失敗を犯しても、それによって俳優や観客が命を落とすことはないでしょう。しかし、私たち「足場屋」の仕事次第では、大工さんや近隣住民、通行人が命を落としてしまう危険もあります。

建物ごとに「足場」やその上で作業をする「人」が異なるわけですから、「足場」の組み方に正解はありません。ゆえに、「足場屋」である限り、その恐怖と向き合い続けなければなりません。

でも、だからこそ得られる「もの」もあります。

自分で図面を引き、自分が組み上げた「足場」によって建物が無事完成したときの「達成感」。
そのうえで、大工さんに「仕事がしやすかった」と言われたときの「喜び」。

これは、人の命を支えた「足場屋」に与えられる、何物にも代えがたい“勲章”なのです。

日々、「人の命を支える」という恐怖と向き合う。でも、だからこそ味わえる喜びもある。

足場の強み

「足場職人」の将来性

「足場職人」を含む、いわゆる“ガテン系”と呼ばれる職業には「将来性がない」。

そう思われている方も少なくはないようですが、はたして本当にそうでしょうか?

就職先を選ぶ基準のひとつに「将来の安定」というキーワードがよく見受けられますが、今の時代、かつて“安定の象徴”と思われていた職業であっても、リーマンショックのような世界的な金融危機や東日本大震災のような天災によって「それまで積み上げてきたスキル」や「その後の約束されていた未来」が一瞬にして崩れ去るリスクが存在します。

もちろんそれは、「足場屋」と呼ばれる“会社”も然り。
ただ、「足場職人」と呼ばれる“いち個人”で考えた場合はどうでしょうか?

「足場ミュージアム」のコーナーで紹介した通り、少なくとも紀元前3500年から現在に至るまでの約4500年間、「足場職人」の「存在」やその「技」が地球上から消えたことはありません。

「足場を組む」という専門技術は、地球上に建物が存在する限り需要がなくなることはない。
これは、「歴史に裏打ちされた事実」といえます。

地球上に建物がある限り、「足場」もなくなることはない。

“若き力”が活躍

「アベノミクス」による公共事業の復調、2020年の「東京オリンピック」開催、2027年の開業を目指す「リニア中央新幹線」の建設……。それらの追い風により、今、建設業界は熱気に沸いています。

建物を建てるうえでも、直すうえでも必要不可欠な「足場」を組む私たち「足場屋」も、その渦中にいます。

ただ、同時に職人の高齢化や後継者不足などによる「職人不足」も深刻化。それに伴い、今、現場では、これまで以上に若い職人たちが重宝されています。

実際に、「セオテクノ」で働く志の高い若き職人たちも、日々腕を磨いてさまざまな現場で活躍。“ガテン系”の一般的なイメージとは裏腹に、独立など自分の将来もしっかりと見据え、プライベートでも経済的にも精神的にも同世代に自信を持って胸を張れるような生活を送っています。

もちろん、「足場職人」は決してラクな仕事ではありません。でも、努力をすればその分だけ、確実に「成長」や「成功」というかたちになって自分に返ってくる職種でもあります。

「足場屋」業界は、今、あなたの“若き力”を待っています。

ラクではないが、努力した分「成長」や「成功」が得られる。それが「足場屋」の仕事。

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